「海の素」

*** 海の素 ***

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「海の素」ものかたり -その27-

〜微量元素と小児疾患 2 〜


~近年栄養学が臨床の場で真剣に考えられる動機作りの一つになったのが「微量元素」の問題であったと思う。
亜鉛欠乏の症例に接した医師は、この問題に無関心ではいられなくなったであろうし、さらにこれらの微量元素により構成される金属酵素の生体内分布、代謝機構での重要性を知ったとき、おそらく今まで知らずに過ごしてきた事が不思議にすら思えたに違いない。
栄養学者 Lucille S.Hurley は彼女の著書 Developmentalnutrition では、かなりの頁をさいて微量元素を論じているし、Annual Review of Nutriton では小児科医で免疫学者でもある
Robert A.Good らが22頁にわたって亜鉛と免疫の問題を論じている。

これらに書かれた物の中で重要と思われるものについては本稿でも触れたが、是非ご一読いただきたい。

それにしても基本的な問題で不明な部分がまだかなりある。
たとえばこれらの微量元素の血中濃度を一定にしている機構―ホメオスターシスは何によって調節を受けているのか?
各年齢での吸収率はどう異なっているのか?などについての解明も今後の研究に残されている。
測定機の開発や安定同位元素の使用などにより、近い将来こうした問題がより一層解明されるものと期待したい。~

「ヒトにおける微量元素」

最近の10数年間にヒトにおける微量元素に関する研究の進歩はめざましいものがある。
ヒトにおけるFeとIの必須性についてはかなり以前から知られていたが、ZnやCuのヒトにおける役割が認識されるようになってからわずか10数年しかたっていない。

最近の業績をみると、糖尿病患者の耐糖能に関するCrの作用、Mnと軟骨代謝、Znと核酸代謝、Cuとコラーゲン代謝、ヒト赤血球中酵素である glutathione peroxidase と Se などがある。
臨床的にもヒトの銅または亜鉛欠乏症が注目されるようになったのは最近の事であり、症例の報告も次第に増加しつつあるが、未解決の分野も多い。

たとえば乳幼児食品中の微量元素の availability の問題がある。
すなわちZnについてみるとその必要量は食事中のフィチン酸や食物繊維あるいは共存する他の元素によって影響をうける。したがって人種や食習慣によってもその必要量は異なってくる。

現在のわが国の人工乳中のZnやCuの量が乳児期の要求量に対して少ないのではないかという問題が提起され、Zn, Cuが添加される方向で検討されている。
しかし真の要求量、安全で十分な添加量についても完全に解決されたとは言えない。
このような問題は人工乳に限らず、その他の食品、輸液などについても検討されなければならない。
また Zn, Cu以外の微量元素についても同様な検討が必要になるかもしれない。

現在までに微量元素のなかでヒトにおける欠乏症例が確認されているのはFe, I, Zn, Cuであるが、近年の分析機器の発達、金属代謝異常の動物モデルの作製、生化学的分析方法の進歩などによって今後ますます微量元素についての研究が発展し、臨床的な応用が拡大されることが期待される。
― 小児科 Mook「微量元素と小児疾患」より ―


少し前の資料なのでリアルタイムの情報ではないが、進んだといわれる医学の最先端の研究でもまだまだ微量元素の研究は始まったばかりだ。

私の小中学校時代は90以上見つかった微量元素もただの灰分として教わった覚えがあるがそれを考えると少しは進んだのだろうし、たぶん進めば進むほど今後微量元素の必要性が明らかになってくるだろう。

現在の分析医学や栄養学の中では、一つ一つの機能や働き、効能などが分かればその事だけが注目され、(ビタミンCとか、タンパク質が足りないよなど)それを配合した薬や強化食品が作られて売られてゆくが、本当に大事な事は、これら様々なミネラルが溶けあった母なる母液が出来た時、はじめて生命が地球上に棲息出来る環境が整って、生命が発生することができたという事実である。

大切なのはいのちが育まれ機能し活動できるミネラルの絶妙なバランスなのだ。
それが出来上がるまでの間どれだけの時間がかかり、今日のわれわれが45億年の地球の進化と歴史の上にまぎれもなくひとつながりで存在しているかという事を考えたら放射能で空や海を汚すことがどんなに愚かな事なのか分かるだろう。


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